「人手不足」という一言でまとめられがちですが、建設・警備・物流では不足の原因がそれぞれ違います。原因が違えば打ち手も変わります。2026年上期に起きたことを整理します。

まず数字で位置を確認する

厚生労働省「一般職業紹介状況」の職業別有効求人倍率(令和7年度平均)です。

職種分類令和7年度平均前年度
建設躯体工事従事者7.72倍8.52倍
保安職業従事者(警備等)6.43倍6.60倍
土木作業従事者6.23倍6.15倍
自動車運転従事者2.58倍2.61倍
職業計(全職業平均)1.10倍1.14倍

前年度より倍率が下がっている職種が多いものの、全職業平均も1.14倍→1.10倍へ低下しています。求人数自体が減っている局面であり、現場3業種と全体との差は開いたままです。採用が楽になったわけではありません。

建設:稼働時間の制約による構造的不足

時間外労働の上限規制で1人あたりの稼働可能時間が減り、同じ工期に必要な人数が増えました。離職が増えたわけではなく、必要人数のほうが増えている状態です。

  • 打ち手:採用人数の計算式を上限規制ベースで組み直す
  • 効きにくい打ち手:既存社員の残業でしのぐ(そもそも上限がある)

警備:有資格者の偏在と、人員構成の高齢化

警備は募集数そのものより、検定有資格者の確保がボトルネックになっています。未経験者は採れても、資格者の配置義務がある案件に入れられない。

加えて、賃金構造基本統計調査では警備員の平均年齢は53.8歳。大工(50.2歳)や大型ドライバー(51.5歳)より高く、現場職のなかでも高齢化が進んでいます。今年の充足だけでなく、5年後の退職見込み人数を出しておく必要があります。

  • 打ち手:未経験採用と資格取得支援を一体で設計する
  • 効きにくい打ち手:資格者だけを狙った高単価求人(母数が少なく単価だけ上がる)

物流:条件面の可視化競争

物流は3業種のなかでは倍率が比較的落ち着いていますが、求人票の情報量で応募が明確に分かれるフェーズに入りました。拘束時間・荷待ち・積み下ろし方法を書く会社に応募が集まっています。

  • 打ち手:1日の流れを時刻つきで書く
  • 効きにくい打ち手:月給の上限額だけを大きく見せる

下期に向けて

3業種に共通するのは、採用単価が上がり続けていることです。応募単価だけを下げようとすると、入社率の低い母集団が増えて採用単価はむしろ上がります。

見る指標を「応募数」から「入社1人あたりコスト」に切り替えるところから始めてください。相場と単価の実数は市場データのレポートにまとめています。