建設・警備・物流の採用担当者からもっとも多く受ける質問が「うちの条件は相場と比べてどうなのか」です。この記事では、厚生労働省の公的統計をもとに、現場3業種の採用市場を職種別に整理します。

出典は次の2つです。数値はすべて出典どおりで、当社による推計は含みません。

  • 有効求人倍率:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」長期時系列表 第21表(パートタイムを含む常用)
  • 給与:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表(男女計・企業規模10人以上・産業計)

現場3業種の有効求人倍率

令和7年度(2025年4月〜2026年3月)平均と、直近月の数値です。

職種分類令和7年度平均令和6年度平均2026年6月
建設躯体工事従事者7.72倍8.52倍7.85倍
保安職業従事者(警備等)6.43倍6.60倍5.85倍
土木作業従事者6.23倍6.15倍5.97倍
建築・土木・測量技術者(施工管理等)5.62倍5.62倍4.96倍
建設・採掘従事者(計)5.03倍5.14倍4.80倍
電気工事従事者3.37倍3.31倍3.24倍
自動車運転従事者2.58倍2.61倍2.42倍
輸送・機械運転従事者(計)2.15倍2.20倍2.00倍
運搬従事者1.08倍1.14倍1.00倍
職業計(全職業平均)1.10倍1.14倍1.01倍

全職業平均が1.10倍のところ、建設躯体工事は7.72倍。求人およそ8件に対して求職者1人という計算です。警備を含む保安職業も6.43倍で、全職業平均の約6倍の需給ひっ迫が続いています。

読み違えやすい点:倍率は「下がっている」

前年度と比べると、建設躯体工事は8.52倍→7.72倍、保安は6.60倍→6.43倍と低下しています。ただしこれは採用が楽になったという意味ではありません。全職業平均も1.14倍→1.10倍へ下がっており、求人数そのものが全体的に減っている局面です。

現場3業種と全職業平均のは開いたままです。相対的な採用難易度は変わっていない、と読むのが妥当です。

倍率が高い職種で効くのは、条件よりも「速度」

倍率6倍を超える職種では、応募者は同時に複数社へ応募していると考えたほうが実態に近くなります。この水準では、求人票の完成度を上げるより応募当日に電話がつながるかどうかのほうが面接設定率を動かします。

具体的には次の3つで、いずれも費用はかかりません。

  1. 応募通知の宛先を事務所の共有メールから担当者のスマートフォンに変える
  2. 応募通知を受け取る担当者を2名以上にする
  3. 電話がつながらなかった場合のSMSの文面を用意しておく

給与相場(令和7年賃金構造基本統計調査)

「きまって支給する現金給与額」は超過労働分を含む月額、「所定内給与額」は含まない月額です。求人票の月給と比べるときは所定内給与額のほうを見てください。

職種平均年齢所定内給与きまって支給うち超過時間年間賞与
土木技術者(施工管理等)46.0歳384,100円417,900円12時間1,234,700円
電気工事従事者41.6歳361,500円411,500円17時間1,343,100円
配管従事者42.9歳335,700円368,600円11時間807,500円
建設・さく井機械運転従事者49.5歳335,700円362,600円11時間527,300円
大工50.2歳326,700円360,300円12時間531,300円
営業用大型貨物自動車運転者51.5歳306,300円386,900円33時間429,600円
土木従事者、鉄道線路工事従事者46.7歳299,900円320,600円8時間504,900円
営業用貨物自動車運転者(大型を除く)50.3歳287,300円341,700円26時間385,100円
警備員53.8歳240,600円288,300円23時間339,800円

ここが実務でいちばん効く:超過労働時間の差

同じ「月給38万円」でも中身がまったく違います。

  • 大型ドライバー:きまって支給 386,900円。ただし超過労働が月33時間含まれます。所定内は306,300円です
  • 土木技術者:きまって支給 417,900円で、超過労働は月12時間。所定内は384,100円です

つまり大型ドライバーの求人に「月給38万円」と書いた場合、求職者が実際に働く時間は土木技術者より月20時間以上長いことになります。経験者はこれを知っているので、拘束時間の記載がない求人は敬遠されます。

求人票には、月給額と一緒に固定残業代の有無・時間数・超過分の支給を必ず書いてください。書いていない求人は、応募前に候補から外されています。

年間賞与の差は、月給の差より大きい

職種年間賞与警備員との差
電気工事従事者1,343,100円+100万円
土木技術者1,234,700円+89万円
配管従事者807,500円+47万円
警備員339,800円

月給だけを比べると警備員と大工の差は約8.6万円ですが、年収ベースでは賞与の差がさらに乗ります。賞与を「あり」としか書いていない求人は、この差を説明できていません。直近の支給実績を月数または金額で書くだけで、比較のテーブルに乗れます。

所定内給与を日額に換算すると(参考値)

賃金構造基本統計調査は月額での公表なので日給は直接出ません。月20日稼働として割った参考値が次のとおりです。稼働日数は会社ごとに違うため、あくまで目安として扱ってください。

職種所定内給与(月)日額換算の目安(月20日)
土木技術者(施工管理等)384,100円約19,200円
大工326,700円約16,300円
土木従事者、鉄道線路工事従事者299,900円約15,000円
警備員240,600円約12,000円

応募単価・採用単価は、公的統計に存在しません

「応募1件あたりいくらかかるか」「入社1人あたりいくらかかるか」は、公的統計では公表されていません。媒体各社が出す数値も算出方法がそろっていないため、他社の数字を自社に当てはめるのは危険です。

**自社で測るしかありません。**必要なのは次の3つだけで、月1回の記録で足ります。

記録する数字そこが落ちているときに直す対象
① 応募数求人票の内容、掲載媒体の選定
② 面接実施数応募後の連絡速度・連絡手段
③ 入社数条件提示の内容、面接での説明、求人票と実態のズレ

この3点があれば面接設定率と入社率が出て、採用単価(採用関連コスト合計 ÷ 入社人数)も計算できます。応募単価が安い媒体でも、面接に来ない応募が多ければ担当者の工数を食うため、採用単価では逆転することがあります。

この記事の使い方

  1. 自社の職種を上の給与表に当てはめ、所定内給与で相場との差を確認する
  2. 差がマイナスなら、条件を上げるか、条件以外の情報(現場の場所、直行直帰、資格取得支援、昇給実績)で埋めるかを決める
  3. 有効求人倍率が5倍を超える職種なら、求人票より先に応募後の連絡フローを直す

自社の求人票がどこまで書けているかは、30項目のチェックシートで確認できます。