警備員の採用で最初につまずくのが「給与をいくらに設定するか」です。この記事では、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(男女計・企業規模10人以上・産業計)をもとに、警備員の給与水準を他職種と比べながら整理します。
警備員の給与水準(令和7年)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年齢 | 53.8歳 |
| 平均勤続年数 | 10.1年 |
| 所定内実労働時間 | 月167時間 |
| 超過実労働時間 | 月23時間 |
| 所定内給与額 | 240,600円/月 |
| きまって支給する現金給与額 | 288,300円/月 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 339,800円/年 |
年収の目安は、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与で約380万円です。
平均年齢53.8歳という数字の意味
全職種の中でも高い部類です。比較すると次のようになります。
| 職種 | 平均年齢 |
|---|---|
| 警備員 | 53.8歳 |
| 大工 | 50.2歳 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 51.5歳 |
| 電気工事従事者 | 41.6歳 |
| 土木技術者(施工管理等) | 46.0歳 |
**警備業は、他の現場職と比べても人員構成の高齢化が進んでいます。**平均勤続年数が10.1年ある一方で平均年齢が53.8歳ということは、40代以降で入職した層が一定数いる、あるいは長く残った層の年齢が上がっている、ということです。
採用計画上は、5年後・10年後の退職見込みを人数で出しておく必要があります。「今年何人採るか」だけを見ていると、数年後に一気に足りなくなります。
他の現場職と比べたときの位置
| 職種 | 所定内給与 | 超過時間 | 年間賞与 |
|---|---|---|---|
| 土木技術者(施工管理等) | 384,100円 | 12時間 | 1,234,700円 |
| 電気工事従事者 | 361,500円 | 17時間 | 1,343,100円 |
| 大工 | 326,700円 | 12時間 | 531,300円 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 306,300円 | 33時間 | 429,600円 |
| 土木従事者、鉄道線路工事従事者 | 299,900円 | 8時間 | 504,900円 |
| 警備員 | 240,600円 | 23時間 | 339,800円 |
比較対象の中では警備員がもっとも低く、土木従事者との差は約6万円、大工との差は約8.6万円です。年間賞与の差はさらに大きく、電気工事従事者とは約100万円の開きがあります。
この差をどう扱うか
差があること自体は変えられません。求人票で勝負するなら、警備職の条件が有利な部分を明示するしかありません。統計から読み取れる有利な点は次の2つです。
- 未経験からの参入障壁が低い — 特別な資格がなくても始められ、資格は入社後に取得できる
- 勤続10.1年という定着実績 — 続けている人は長く続けている職種である
一方、超過労働時間が月23時間ある点は隠さないでください。大型ドライバー(33時間)よりは短いものの、土木従事者(8時間)の3倍近くあります。夜勤や24時間勤務を含む勤務形態がある以上、拘束時間と仮眠時間を求人票の段階で明記するほうが結果的に定着します。
日給に換算するときの注意
賃金構造基本統計調査は月額での公表なので、日給は直接には出ません。所定内給与額240,600円を稼働日数で割った参考値が次のとおりです。
| 月の稼働日数 | 日額換算の目安 |
|---|---|
| 20日 | 約12,000円 |
| 22日 | 約10,900円 |
| 24日 | 約10,000円 |
**同じ月収でも、稼働日数が違えば日給は2,000円変わります。**求人票に日給で出す場合は、月何日勤務を前提にしているかを併記しないと、月収ベースで比較する求職者に伝わりません。
検定資格者の確保が、募集数以上のボトルネックになる
保安職業従事者の有効求人倍率は令和7年度平均で6.43倍(全職業平均1.10倍)。ただし警備業の採用課題は、募集数そのものより配置義務のある検定有資格者を確保できるかにあります。
高速道路や特定の道路工事では交通誘導警備業務検定の有資格者を配置する義務があるため、有資格者は「採用する」より「確保しておく」対象です。未経験者を採用して自社で検定を取らせるルートを取る会社が増えていますが、その場合は求人票に次を必ず書いてください。
- 検定の受験費用・講習費用を会社が負担する金額
- 取得後に給与がいくら上がるか(「昇給あり」ではなく金額で)
- 直近1年で何人が取得したか
3つ目がもっとも効きます。「取得支援あり」と書いている会社は多いので、実績の人数が入って初めて差がつきます。
求人票を作る前に決めておく3つの数字
- 基本給・日給の下限(未経験スタートで実際に支払う額。研修中の額を下限に出さない)
- 資格手当の額(検定2級/1級それぞれ、金額で)
- 研修期間中の賃金と期間(法定の新任教育をどう払うか)
このうち3番目を曖昧にしたまま募集をかけると、入社後のトラブルに直結します。新任教育の記録実務については、制度側の解説記事も合わせてご覧ください。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表(男女計・企業規模10人以上・産業計)、 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」長期時系列表 第21表。2026年8月4日取得。