建設業に時間外労働の上限規制が適用されてから、現場の採用条件は確実に変わりました。この記事では、採用担当者が実務で対応すべき点に絞って整理します。
制度の詳細な解釈は所轄労働基準監督署・社会保険労務士にご確認ください。本記事は採用実務への影響を扱います。
何が変わったのか(採用に効く部分だけ)
- 時間外労働に上限が設けられ、超過には罰則がある
- 結果として 1人あたりの稼働可能時間が減った
- 同じ工期を回すには人員を増やす必要がある
- つまり 業界全体の採用需要が構造的に増えた
有効求人倍率が高止まりしている背景には、この構造変化があります。景気の波ではないため、待っても緩みません。
建設職種の需給は、いまどの水準にあるか
厚生労働省「一般職業紹介状況」の職業別有効求人倍率(令和7年度平均)です。
| 職種分類 | 令和7年度平均 | 前年度 |
|---|---|---|
| 建設躯体工事従事者 | 7.72倍 | 8.52倍 |
| 土木作業従事者 | 6.23倍 | 6.15倍 |
| 建築・土木・測量技術者(施工管理等) | 5.62倍 | 5.62倍 |
| 建設従事者(躯体工事を除く) | 4.38倍 | 4.59倍 |
| 職業計(全職業平均) | 1.10倍 | 1.14倍 |
全職業平均の約7倍の水準が続いています。土木作業従事者にいたっては前年度より上昇しました。上限規制による構造要因は解消していません。
休みを増やすと本当に採れるのか
応募数だけを見ると、4週8休を明記した求人は明記なしより応募が伸びます。ただし 日給制のまま休みだけ増やすと、手取りが減って既存社員が辞めます。
実際に定着まで含めてうまくいった会社は、次のどれかをセットで実施していました。
- 日給を引き上げたうえで休日を増やす
- 月給制に移行し、休日数に関わらず月収を固定する
- 休日出勤に明確な割増手当を設ける(金額を求人票にも記載)
「休みを増やす」は施策ではなく、賃金設計とセットで初めて施策になります。
求人票に書くべき「実績値」
制度対応をアピールするなら、方針ではなく実績を書いてください。
- 変更前:働き方改革を推進しています/4週8休
- 変更後:直近3か月の平均休日は月8.2日(4月8日、5月9日、6月7.5日)。年間休日は105日です
数字で書けない場合、その条件はまだ実態になっていない可能性があります。書けるところまで下げて正確に書くほうが、採用単価は下がります。
採用計画への織り込み方
上限規制下では、必要人数の計算式そのものを変える必要があります。
- 現場ごとの必要延べ工数を出す
- 1人あたり年間稼働可能時間で割る(上限規制を織り込んだ値)
- 離職率を掛けて、期中の補充人数を上乗せする
この計算をしないまま「去年と同じ人数」で募集を出すと、期中に必ず足りなくなります。市場データ側の記事も合わせてご覧ください。